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(課題)
Aの裏面に位置するボス部において、溶湯が先端まで充填されない湯回り不良が慢性的に発生しております。この不良は製品の強度や嵌合精度に直接影響を及ぼす重大な問題です。これまで射出速度や圧力、金型温度といった鋳造条件の調整を幾度となく試みてまいりましたが、一時的に良化してもすぐに不良が再発するなど、品質が全く安定しない状況が続いております。この結果から、問題の根本原因は鋳造条件の微調整では解決不可能なレベルにあり、湯流れ設計に起因するものと判断いたしました。
(提案内容)
まず、(ア)部分のゲート幅を現行より3mm拡大しました。現状の狭いゲートでは上部ブロックが障害となり、溶湯の流れが阻害されていますが、ゲート幅を拡大することでブロック横のリブからもスムーズに溶湯が流れ込む流路を確保し、ボス部への絶対的な湯量を増加させ、充填を促進させました。次に(イ)部分について、前回実施し高い効果が実証されたものの、鋳造中に脱落してしまった対策を再度実施しました。脱落後に不良が多発したことからもこの対策の有効性は明らかであるため、今回は施工方法と固定方法を根本から見直し、鋳造の熱や圧力に耐えうる強固な仕様で恒久対策として施します。これにより、以前のようなトラブルを再発させることなく、持続的な品質安定を図ります。