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ダイカストで複雑形状を製作するために注意する点は?成立させるための設計・鋳造技術を解説

薄肉ダイカスト 鋳造欠陥 湯回り 金型
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アルミダイカストは、溶かしたアルミ合金を高速・高圧で金型に充填する鋳造法です。金型のすみずみまで溶湯が行き渡るため、切削加工や板金では難しい複雑形状の部品を、高い寸法精度で量産できます。

一方で、形状が複雑になるほど、湯回り不良や鋳巣、寸法のばらつきは起こりやすくなります。ここでは、複雑形状のダイカストを成立させるために必要な設計・鋳造・管理のポイントをご説明します。

ダイカストが複雑形状に適している理由

(1)高速・高圧充填による優れた転写性

ダイカストでは、溶融したアルミ合金を数十MPaの圧力で金型キャビティへ充填します。重力のみで注湯する砂型鋳造などと異なり、圧力によって溶湯が細部まで押し込まれるため、細いリブや小さなボス、深いフィンといった形状も再現できます。金型形状がそのまま転写されるため、鋳肌が滑らかで寸法精度が高い点も特長です。

(2)一体成形による部品点数・組立工数の削減

複数の部品を溶接やネジ止めで組み立てていた構造を、一体で成形できるケースが多くあります。部品点数が減れば、組立工数や締結部品のコストがまとめて削減でき、漏れやガタつきといった品質リスクの低減にもつながります。

複雑形状の製作工法としてのダイカストの位置づけ

複雑形状の部品をつくる方法は、ダイカストだけではありません。砂型鋳造やロストワックス鋳造、切削加工にもそれぞれ得意分野があり、要求精度と生産数量によって適材適所があります。

砂型鋳造は大型品や少量多品種に、ロストワックス鋳造は少量の精密部品に向いています。一方で「複雑な形状を、精度を保ったまま繰り返し量産したい」という要求には、ダイカストが最も適しています。

複雑形状のダイカストで起こりやすい課題

湯回り不良・湯じわ

溶湯が金型のすみずみまで届かず、形状が欠けたり、表面にシワ状の跡が残ったりする不良です。薄肉部や末端部、細いリブの先端は溶湯が冷えやすく、充填が完了する前に凝固してしまうことで発生します。

鋳巣

高速充填ではキャビティ内の空気や蒸発した離型剤を巻き込みやすく、内部に空洞が生じます。肉厚の急変部では溶湯の補給が追いつかず、引け巣も発生します。強度低下やエアリークの原因となります。

焼き付き・カジリ

金型の温度が局所的に高くなりすぎると、アルミが金型表面に付着します。複雑形状では薄肉部と厚肉部、深いピン部が混在するため型内の温度分布が不均一になりやすく、高温部では焼き付きが、冷えすぎる部分では湯回り不良が起こります。

変形・寸法のばらつき

肉厚差の大きい製品では冷却時の収縮量に差が生じ、離型後に反りや歪みが残ります。また、抜き勾配が不足していると押し出し時に無理な力がかかり、製品や金型を損傷させるおそれがあります。

複雑形状のダイカストの設計段階で押さえるべきポイント

複雑形状のダイカストは、量産開始後の条件出しだけでは解決できません。図面の段階でどれだけ織り込めるかが成否を分けます。

(1)肉厚の均一化とR付け・リブ形状

肉厚が薄すぎると湯回り不良、厚すぎると引け巣が発生しやすくなります。急激な肉厚変化を避け、角部にRを設けることで溶湯の流れを改善します。リブは薄肉化に有効ですが、根元が厚くなりすぎないよう、高さ・厚み・ピッチを調整します。

(2)アンダーカットと抜き勾配の整理

設計初期から型割りを想定することで、不要なスライド構造を減らし、金型費や不良リスクを抑えられます。アンダーカットは必要最小限とし、抜き勾配も製品機能を損なわない範囲で設定します。

(3)ゲート位置・オーバーフロー・エアベントの方案

溶湯の入口、方向、速度は、複雑形状の成形性を左右します。末端まで安定して充填できる流路を設計し、冷えた溶湯を逃がすオーバーフローと、ガスを排出するエアベントを適切に配置します。

(4)インサート成形・複合化による難所の回避

アルミだけでは強度が不足する部分には、鉄などの金属部品をあらかじめ金型内にセットし、アルミと一体化するインサート成形が有効です。形状だけで解決せず、材料や工法を組み合わせる方法も検討します。

シミュレーションによる事前検証

複雑形状では、経験だけに頼らず、鋳造シミュレーションによる事前検証が重要です。当社では図面から3Dモデルを作成し、溶湯の充填状況やガスの滞留、最終凝固位置を予測します。その結果を、ゲートや冷却水路、加圧位置の設計に反映します。

また、量産金型の製作前に簡易金型で試作することで、肉厚部・薄肉部の成形性や鋳造特有の不具合を確認できます。量産性を早期に判断し、設計変更や手戻りを抑えられます。

▼試作について詳しくはこちら▼
>>開発期間を短縮するアルミダイカスト試作|簡易金型を活用するメリット

複雑形状ダイカストの製作事例

当社が実際に手がけた製品のうち、複雑形状ならではの課題を解決した事例をご紹介します。

フロントフィン(ADC12/肉厚1.5mm/425g)

本製品は自動二輪車に使用されるフロントフィンです。形状が複雑であることから、湯が回りにくい特性があり、金型の設計提案から当社で行いました。また等間隔でフィンを製作する必要があるため、押し出しピンの配置が非常に重要となります。この押し出し位置が悪ければ、ある一定の場所に圧力がかかってしまい、歪みが発生してしまいます。当社はどのように湯が回るのか、どこに圧力がかかりやすいのかを長年の経験から把握していますので、安定した品質で提供することが可能です。

 >>フロントフィンの詳細はこちら

タービンブレード(ADC12/薄肉0.3mm) 

本製品は、当社の薄肉成形技術を活用したタービンブレードです。先端部を0.3mmの超薄肉とし、複数枚を重ねた際の歪みを考慮して、1枚当たり±0.05mm以内の高精度を実現しています。金型メーカーと設計段階から連携し、一体成形することで切削などの後工程を削減しました。その結果、サイクルタイムを40~45秒に短縮し、製造コストの削減、効率化、軽量化に貢献しています。

 >>タービンブレード事例の詳細はこちら

まとめ

複雑形状のダイカストを安定して量産するには、製品設計・鋳造条件・工程管理を一体で検討することが重要です。肉厚や抜き勾配、ゲート方案を設計段階から織り込み、シミュレーションや真空・スクイズ・型温管理などを活用して品質を作り込みます。

軽量・薄肉ダイカスト開発センターを運営する当社には、国家資格であるダイカスト技能検定員が3名在籍しております。650tのスクイズダイカストマシン(最大製品重量2,000g)をはじめ、真空装置やジェットクールシステムを保有し、鋳造方案の検討から鋳造、バリ取り、機械加工、検査まで社内一貫でご対応いたします。素材寸法公差±0.05mm、最薄0.3mmの薄肉成形実績もございます。

複雑形状のアルミダイカストをご検討のお客様は、ぜひ当社にお問い合わせください。

>>お問い合わせはこちら

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