層流ダイカスト法は、溶湯を乱れのない流れでゆっくり充填することで、ダイカストの鋳巣を抑える特殊ダイカスト法の一つです。
この記事では、層流ダイカスト法の仕組みやメリット・デメリット、他の特殊ダイカスト法との違いなどをご説明します。
層流ダイカスト法とは?
層流ダイカスト法とは、溶湯を金型のキャビティへ、乱れの少ない規則正しい流れ(層流)で、低速で充填する特殊ダイカスト法です。
一般的なダイカスト法では勢いよく溶湯を流し込むため、乱流が発生しますが、層流ダイカスト法では、規則正しく溶湯が流れます。
これにより、一般的なダイカスト法では実現が難しい水準の、低い不良率を実現しています。特に溶湯をゆっくりと流し込むため、他の工法と比較しても、ブローホールの発生が少ないのが特徴です。
・「層流」と「乱流」の違い

層流(そうりゅう):流体が混ざり合わず、規則正しく流れる状態のことです。
乱流(らんりゅう):渦を巻いて激しく入り乱れる流れのことです。
乱流では空気を巻き込んで気泡が発生します。層流ダイカスト法は、この泡立たないなめらかな流れを金型内で再現し、ガスの巻き込みを最小限に抑える工法です。
層流ダイカスト法のメリット・デメリット
・層流ダイカスト法のメリット
層流ダイカスト法の大きなメリットは、鋳巣やブローホールなどの内部欠陥を抑えやすい点です。溶湯を金型内へ穏やかに充填することで、空気やガスの巻き込みを低減し、内部品質の高い製品を成形しやすくなります。
また、内部に残るガスを抑えやすいため、一般的なダイカスト法に比べて、熱処理や溶接を検討しやすくなる点も特長です。さらに、内部欠陥が少ないことで、強度や靭性などの機械的性質の向上にもつながります。
これらの特徴から、層流ダイカスト法は、自動車部品や産業機械部品など、強度・気密性・信頼性が求められる部品への活用が期待されています。
・層流ダイカスト法のデメリット・注意点
一方で、層流ダイカスト法には注意点もあります。溶湯の流れを穏やかに制御するため、一般的なダイカスト法と比べて1ショットあたりの時間が長くなり、生産性が下がりやすい傾向があります。
また、溶湯の流れが遅すぎると、金型のすみずみまで行き渡る前に凝固が進み、湯じわや湯境といった湯回り不良が発生する可能性があります。特に薄肉部や複雑形状の部品では、溶湯温度、金型温度、充填速度、ゲート位置などの条件管理が重要になります。
さらに、後工程における「切断」の負荷にも注意が必要です。切断が難しく、専用の切断機や機械加工が必要になるなど、後処理の工数やコストが増加しやすいという課題があります。
つまり、層流ダイカスト法は「ゆっくり充填すればよい」という単純な工法ではありません。湯回り性を確保しながら、空気やガスの巻き込みを抑えるための方案設計と、緻密な成形条件の管理が品質を左右します。
層流ダイカスト法と他の特殊ダイカスト法との違い
鋳巣やガス巻き込みを抑える特殊ダイカスト法は、層流ダイカスト法以外にもあります。目的が近いため、それぞれの違いを理解しておくと、工法選定の参考にもなります。
・真空ダイカスト法:金型内をあらかじめ減圧し、空気を抜いた状態で溶湯を充填する方法です。空気の巻き込み源を物理的に減らすことで、ガス欠陥の低減を図るダイカスト法です。
・PFダイカスト法:金型内に酸素を充填し、溶湯中のアルミニウムと酸素を反応させることで、ガス欠陥を抑える方法です。無孔性ダイカスト法とも呼ばれ、気孔の少ない緻密な製品を得やすい工法です。
・スクイズダイカスト法:溶湯を比較的低速で充填し、高い圧力で押し固めることで、引け巣を含む内部欠陥を抑える方法です。加圧によって緻密な組織を得やすい点が特長です。
・層流ダイカスト法:溶湯の流れを乱さないように制御し、空気やガスの巻き込みを抑えることに重点を置いた工法です。
いずれの工法も、「空気やガスを巻き込ませない」「鋳巣やブローホールを減らす」という目的は共通しています。部品に求められる品質、強度、気密性、熱処理の有無、形状の複雑さ、生産数量などを踏まえて、最適な工法を選定することが重要です。
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帝産大鐘ダイカスト工業のガス巻き込み・鋳巣対策
軽量・薄肉ダイカスト 開発センターを運営する帝産大鐘ダイカスト工業株式会社では、不良ゼロを目指し、真空装置、スクイズダイカストマシン、ジェットクールシステム、流動解析を活用した方案設計により、ガス巻き込みや鋳巣の低減に取り組んでいます。

・真空ダイカスト・スクイズダイカストへの対応
当社では、最新の真空装置を用いた真空ダイカストに対応しています。金型内の空気を強力に排出したうえで溶湯を充填することで、ブローホールの低減や機械的性質の向上を図っています。また、650tのスクイズダイカストマシンを保有しており、低速充填と高圧での押し固めにより、内部欠陥の少ない高品質な部品の成形が可能です。最大2000gまでの部品に対応しており、強度や気密性が求められる製品にもご提案できます。
・ジェットクールシステムによる局所冷却
ダイカストでは、金型内の一部に熱がこもることで、凝固バランスが崩れ、鋳巣や引け巣が発生しやすくなる場合があります。
当社では、最新のジェットクールシステム(高圧点冷却システム)を活用し、従来は冷やしきれなかった金型の局所的な高温部分をピンポイントで冷却します。これにより、凝固状態を安定させ、鋳巣の発生を抑えることが可能です。
・流動解析と方案設計力
当社には国家資格であるダイカスト技能検定員が3名在籍し、年間60件以上の試作開発を行っています。シミュレーションによる事前検証をもとに溶湯の流れを最適化し、金型更新や設計変更まで踏み込んだご提案が可能です。さらに、鋳造からバリ取り、機械加工、圧漏れ(圧検)検査までを社内一貫体制で行うため、品質を一気通貫で管理できます。
鋳巣対策・高品質ダイカストならご相談ください
層流ダイカスト法をはじめ、真空ダイカスト、スクイズダイカスト、局所冷却、流動解析など、ダイカストの品質改善にはさまざまな方法があります。重要なのは、製品ごとの課題に合わせて、最適な工法・金型設計・鋳造条件を選定することです。
帝産大鐘ダイカスト工業株式会社では、他社で断られた部品や、なかなか不良が減らない部品についても、これまでの試作開発実績と設備力を活かして対応しています。真空装置、スクイズダイカストマシン、ジェットクールシステム、熟練技術者による流動解析力を組み合わせ、「ガスを巻き込まない高品質なダイカスト」を追求しています。
鋳巣やブローホール、湯回り不良、圧漏れなど、ダイカストの品質改善でお悩みがございましたら、ぜひ一度ご相談ください。