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「鋳巣」対策ガイド|知っておくべき原因解明と品質向上のための解決手法

鋳造欠陥
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ダイカスト品の品質を左右する大きな要因の一つが、製品内部に発生する空洞、すなわち「鋳巣(ちゅうす・いす)」です。鋳巣が発生すると、製品の気密性や機械的強度が著しく低下し、歩留まりの悪化を招きます。

この記事では、鋳巣の基礎知識から、金型設計・射出条件・最新技術による抜本的な対策まで解説します。

鋳巣とは? その種類と基礎知識

鋳巣とは、鋳造工程において製品内部に発生する穴や空洞の総称です。主に「ブローホール(巻き込み巣)」と「引け巣」の2種類に大別されます。

ブローホール(巻き込み巣): 溶湯がキャビティに充填される際に、空気や離型剤のガスを巻き込んで発生するもの。

引け巣: 溶湯が凝固する際の体積収縮に対し、補給が間に合わないことで発生するもの。

ピンホール:ブローホールよりも微細な空孔のことで、JIS規格では直径3mm未満のものとされています。

ダイカストや鋳造では、溶湯を高速・高圧で流し込む必要があるため、泡立ちやガスの発生を無くし、鋳巣を完全にゼロにすることは困難です。まずは、ダイカストの基本と鋳巣の全体像を把握することが対策の第一歩です。

金型設計による鋳巣対策(方案・構造)

鋳巣対策は、現場の条件調整だけでなく「金型設計段階」での作り込みが極めて重要です。特に、溶湯の通り道である「方案」や、ガスの逃げ道、冷却の配置を重点的に考慮する必要があります。

 

方案設計と充填の最適化による鋳巣対策

方案設計においては、適切なゲート位置の設定とランナー設計により溶湯の流れをスムーズにし、空気やガスの巻き込みを抑えることが重要です。特にGFゲートは、断面積を湯口と1:1で確保することが望ましいとされており、排気抵抗を低減することでガスを効率的に排出できるようにする必要があります。
また、充填工程ではスリーブ充填率や射出速度を適正に管理し、乱流の発生を防ぐことが求められます。さらに、CAE解析を活用して事前に流動状態や欠陥発生のリスクを予測し、適切な対策を講じることで、ブローホールや引け巣の発生を最小限に抑えることが可能になります。
>>鋳巣を防ぐための金型方案と充填の要点の詳細を確認する

 

冷却設計と金型構造が鋳巣に与える影響

熱がこもりやすい部分では、引け巣が発生しやすくなります。そのため、金型の冷却設計を見直し、凝固ができるだけ均一に進むようにすることが重要です。冷却設計では、金型全体の温度分布を偏らせないことが基本となります。特に肉厚部やホットスポットには、冷却ピンやジェットクールを適切に配置することで、引け巣の発生を抑える効果が期待できます。
一方で、冷やしすぎには注意が必要です。過度な冷却は離型剤の水分が残りやすくなり、結果としてガスが原因となる鋳巣を引き起こすことがあります。金型構造の面では、エアベントやチルベントを設け、ガスをスムーズに逃がす工夫が欠かせません。あわせて、溶湯の流れが乱れないゲート方案と、GFゲートの断面積を十分に確保することで、空気の巻き込みを最小限に抑えた設計が求められます。
>>鋳巣を防ぐ金型の冷却・構造設計の要点の詳細を確認する
>>品質を左右する冷却の重要性の詳細を確認する
>>【ダイカスト不良対策】ジェットクールによる冷却改善を確認する

製造現場でのプロセス管理による鋳巣対策(温度・射出・メンテナンス)

金型の設計も重要ですが、日々の製造条件の管理も鋳巣発生を左右します。

 

温度管理と射出条件が鋳巣に与える影響

溶湯温度や金型温度、射出速度は、わずかなズレでも鋳巣の発生につながります。そのため、まず重要になるのが金型温度の管理です。金型温度が低すぎると、離型剤に含まれる水分が十分に蒸発せず、ガスとなって鋳巣の原因になります。
また、溶湯温度についても注意が必要です。温度が高すぎると酸化物が増え、低すぎると流動性が不足するため、適正な温度範囲を維持することが欠かせません。
射出条件では、スリーブの充填率を高めることで空気の巻き込みを抑え、あわせて射出速度を適切に設定し、溶湯の乱流を防ぎます。さらに、射出の0.3〜0.5秒前に真空引きを行い、その後十分な圧力を加えて気泡を潰すことで、鋳巣の少ない高品質な成形が可能になります。
>>鋳巣における溶湯温度の関係について詳細を確認する
>>鋳巣を防ぐための、温度・射出・真空管理のポイントの詳細を確認する

 

離型剤とエアーブローが鋳巣に与える影響

見落とされやすい要因の一つが、金型に塗布する離型剤に含まれる水分です。この水分がガス化し、金型内部に残ってしまうケースは少なくありません。そのため、塗布後の適切なエアーブローは欠かせない工程となります。
金型内に水分が残ったまま高温の溶湯が充填されると、水分が一気に気化し、ガス抜き機構で排出しきれずに溶湯へ巻き込まれ、ブローホール(内部気泡)として欠陥が発生します。これを防ぐには、離型剤の濃度を常に一定に管理するとともに、確実なエアーブローによって余分な水分を物理的に除去することが重要です。
あわせて、金型温度を適正に保ち、水分の蒸発を促すことで、製品の機械的性質や気密性の向上が期待でき、不良率の低減にもつながります。
>>鋳巣を防ぐための離型剤・エアーブローの運用管理について詳細を確認する

鋳巣を解決する最新技術

冷却システム

「従来の手法ではどうしても鋳巣が消えない」といった難易度の高い製品や、薄肉・高気密部品に対しては、最新技術が効果的です。

 

空気を排除し鋳巣を抑制する真空ダイカスト法

真空ダイカスト法は、溶湯注入直前に金型内を真空に近い状態(到達真空度-90kPa等)にする技術です。空気を強力に排除することでブローホール(内部気泡)を激減させ、製品の機械的性質や耐圧性を向上させます。背圧がなくなるため湯廻り性が向上し、複雑形状や超薄肉化が実現できるほか、内部ガスの膨張を抑えられるため、従来困難だった熱処理や溶接も可能になります。
>>どうしても消えない鋳巣を解決!最新真空装置によるダイカスト不良対策について詳細を確認する
>>なぜ真空ダイカスト法で薄肉化、高強度化ができるのか詳細を確認する

 

鋳巣をピンポイントに抑制するジェットクール

ピンポイントで強力に冷却を行うことで、肉厚部などの引け巣をピンポイントで抑制します。これは「高圧点冷却システム」と呼ばれ、通常の冷却水では冷やしきれない金型の局所的な高温部(ホットスポット)を、高圧水流で強力に冷却する技術です。 金属組織を緻密にして内部欠陥を解消するだけでなく、強制冷却により凝固を早めることでサイクルタイムの短縮と生産性向上に貢献します。 加えて、焼き付きを防止し金型やピンの長寿命化も実現します。
>>【ダイカスト不良対策】ジェットクールによる冷却改善の詳細を確認する

これでもどうしても鋳巣が消えない場合の対処法

当社では、ダイカスト製品の巣穴が無くならない場合、「デプコン修正」または「ディヒトール修正」を提案しています。これらを用いることで、歪みやヒケを出さずに巣穴やピンホールを簡単に肉盛補修でき、不良率の低減が可能になります。
>>鋳巣が消えない場合の対処法詳細を確認する

当社の鋳巣改善事例

 

冷却ピンで鋳巣の発生を抑制

厚みや部位の差による冷却速度の違いで、ピンホールが発生していました。そこで冷却温度差を考慮し、鋳巣のを抑制しました。
>>こちらの事例の詳細を確認する

 

中子ピンの形状と配置改善による鋳巣対策

製品の2箇所に鋳巣が発生し、品質問題になっていましたが、ピンの形状と配置を見直しをご提案。鋳巣の発生を抑えました。
>>どのように鋳巣を抑制したのか、詳細を確認する

高精度・薄肉・軽量ダイカストは、鋳巣対策に強い当社にお任せください!

鋳巣対策は、原因が一つではないことが多く、設計・材料・設備・運用が密接に関連しています。軽量・薄肉ダイカストセンターを運営する帝産大鐘ダイカスト工業では、これらの要素を徹底的に分析し、改善にむけた最適なご提案いたします。

鋳巣や湯回り不良など、ダイカストの品質改善に関してお悩みがございましたら、ぜひお気軽にお問い合わせください。
>>ダイカストの不良改善について相談する

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